お知らせ

5月の分解練習曲は「あなた」

ゴールデンウィークの東京(含む4都府県)は、非常事態宣言下ということもあり、どことなく静かに過ぎていったような気がします。他の県でも、まん延防止重点措置(まん防)の実施により、もやもやとした状態で、休日を過ごされた方も多いのではないでしょうか? 

非常事態宣言は、愛知県と福岡県を含め、5月31日まで延長されることになりましたが、いつまでこのような状況が続くのでしょうね。「神のみぞ知る」といった時代でもないですが、未知の感染症によって、何か神(?)のような目に見えない存在に、試されているかのようにも思えてきてしまう毎日です。

ちなみに、先日の法改正により、新型コロナウィルスは、指定感染症から新型インフルエンザ等感染症に分類が変わりました。新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)も改正され、より実効的な措置がとられるようになり、その結果として、今回のまん防があり、非常事態宣言の発出があったのだと思われます。ぜひよい効果が表れることを願っております。

ただ、もう一年以上このような状況ですから、なにかと辛いですよね? 日本は自然災害も多い国なので、コロナ対策に偏重していると、足元をすくわれそうで怖い部分もあります。やはり最後は個々人のリスク管理が大切ということになるかと思いますので、みなさんも日頃からいろいろ気をつけてお過ごしください。そして、早く自由に集い歌える日が来ることを祈りたいと思います。

と、なんだかとりとめもない話になってしまいましたが、今月(5月)の曲にいきましょう。ラインナップは以下のとおりです。

1.風
2.ひこうき雲
3.初恋
4.花~すべての人の心に花を~
5.今日の日はさようなら
6.亜麻色の髪の乙女
7.あなた
8.聖母たちのララバイ
9.恋の季節
10.翼をください
(『SING POPS1』より)

分解練習曲は、「あなた」です。1973年暮れに、小坂明子のデビューシングルとして発売された曲で、翌74年のオリコンチャートでは1位を記録しています。年間でも160万枚以上のセールスを記録し、2位(1位は殿様キングスの「なみだの操」)に輝き、NHK紅白歌合戦にも出場しました。

「あなた」は、当時アマチュアミュージシャンがプロとなる登竜門として人気を博していた「ヤマハポピュラーソングコンテスト」(通称ポプコン)で、グランプリを獲得した曲です(1973年の第5回大会)。ポプコンは、多くのプロミュージシャンを輩出してきましたよね。75年には中島みゆきが「時代」でグランプリをとっています。

1973年といえば、以前「危険なふたり」について書いたときにも少し紹介していますので、お時間あればご覧ください。高度経済成長にかげりが見え始めたこの時代、歴史的にみると、2つのショックに見舞われます。1つは、71年のニクソンショック(ドルショック)で、もう1つは73年のオイルショックです。

ドルショックは、当時の米大統領、ニクソンの新経済政策(金・ドルの交換停止)によって、基軸通貨としてのドルの地位が大きく揺らいだことによって起こったものです。これにより、日本も1ドル=360円の時代に別れを告げ、73年に変動相場制に移行しています。オイルショックは第4次中東戦争の影響で、原油価格が上がり、国内では、トイレットペーパー、洗剤など物不足により物価が高騰。この時代を知っている世代の方は、震災やコロナ禍に、トイレットペーパーなどがスーパーの棚から消えると、「ああ、いつか見た風景」となるはずです。

このころ、「石油ケチケチ時代」などといわれ、ドライブ自粛や節電、銭湯などの時短営業といった、政府の「石油節約運動」の呼びかけに呼応する動きがありました。73年には資源エネルギー庁が当時の通商産業省に設置されるなど、省エネルギーが推進されていきますが、現在のSDGsに対する意識の高まりを見ていると、歴史の反復性やつながりが見えてきて感慨深いものがあります。

そんな時代だからか、どうかはわかりませんが、このころ、『日本沈没』や『ノストルダムスの大予言』といった本がベストセラーになったり、ユリ・ゲラーの「スプーン曲げ」を皮切りに超能力ブームが巻き起こったりもしました。

小坂明子の「あなた」はこうした時代に生まれ、大ヒットを記録しました。「あなた」をカバーしているミュージシャンは多いですが、最近(2020年)では、エレファントカシマシの宮本浩次が、『ROMANCE』というアルバムの中でとりあげています。このアルバムでは、女性歌手の曲ばかりをカバーしていますが、ちょうど、青春ポップス合唱団の歌集に載っているような世代の曲をとりあげていますので、機会があれば聞いてみてください。

「あなた」の歌詞ですが、普通に読むと、失恋ソングのようにも思えます。ただ少しうがった見方をすれば、少女(?)が夢見た「小さな家」は、当時の平均的な日本国民が思い描いていた「マイホーム」で、そこにいるべきはずの(いとしい)「あなた」がいないということは、先行き見えない日本をどこか象徴する、未来予想図だったのかもしれません。そんな妄想(?)も楽しみながら、今月の曲もぜひ声に出して歌い、コロナ禍を乗り越えていきましょう!

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